2012年4月10日火曜日

6その6 高圧電源車による電源復旧


あまり話題になりませんが放射能をマキチラシ、爆発事故を起こした原子力発電所には高圧発電車がありました。
何台も高圧発電車が送りこまれたのは何のためか?と思います。
中間報告によると、使用可能発電所には高圧電源車があり実際に電源確保する所まで準備が進んだそうです。
Mottomo watasiha sinnjimasennga
1号機のベント作業をTVなどで見ていた人は多かったと思いますが同時進行で、電源車による交流電源復旧作業が行われていたことになります。
交流電源の復旧は直接圧力容器を冷やせることを意味しますのでベント以上に期待されるはずなのですが・・

結果は爆発によってケーブルが損傷して、使えなくなったそうです。


2011619日の朝刊に東電発表の事故概要があり、メモ27

3121530分 高圧電源車の接続 ホウ酸注入ポンプ手前まで送信
    15時31分 1号機爆発 電源ケーブルが損傷 高圧電源車自動停止 


あったので、


何故ピンポイントでホウ酸注入ポンプ手前なのか?
爆発くらいで何故ケーブルが損傷するのか?


と疑問に思ったのですが、その経緯が今回の内容です。


上の図のT/Bはタービン建屋、R/Bが原子炉建屋です。
C/Bはコントロール建屋で、この地下の1号機のホウ酸注入ポンプへつながる配電盤にケーブルを繋いだそうです。
ケーブルは建物の中に敷設されたとしていますが・・・


これで、何故ケーブルが回復不能なほど損傷するのか?
損傷したとして何故、再び敷設しようとしなかったのか?


疑問が残ります。


新聞記事では高圧電源車は自動停止となっていますが、中間報告では停止させたと変わっています。

当時電源車は、まだ爆発していない3号機と2号機の間に置かれていましたので、電源車が壊れたとは考えにくいです。




左から14号機で、電源車は23号機の間に置かれました。

OregonLive.com に航空写真があります。



7of12等 参照してください。
所で、爆発した原子力発電所の交流電源は
6900V480V100V
3種類あります。

高圧電源車は6900Vで、変圧器(電圧を変換する機器)で6900V480V100Vに変換します。
おおまかに、高圧電源車と変圧器の間をケーブルでつなぐと考えてよいと思います。


資料は
です。


P158
(6)電源復旧作業
 3 11 15 37 分から同日15 41 分頃、
1 号機から3 号機までの全交流電源喪失 
1 号機及び2 号機の125V 直流電源も喪失

開閉所の遮断器等が落下して使用不能
非常用DG は、6 号機の空冷式DG を除き
本体や非常用DG電源盤等が被水して使えず
1 号機から5 号機までは常用系、非常用系の高圧電源盤Tama注:6900V)が全て被水しており、外部電源や非常用DG が機能しても電力を必要とする機器に供給できないことなどが判明した。

イメージとしては
高圧電源盤(6900V)→変圧器(電圧変換)→低圧電源盤(480V100V
となります。


高圧電源盤が被水して、変圧器や低圧電源盤が被水しなかったとは考えにくいのですが・・・

P158
発電所対策本部は、電源車の早期調達を要請した。
312 1 20 分頃までの間に高圧電源車合計4 台が福島第一原発に到着した。

11 21 28 分頃以降、自衛隊の電源車も福島第一原発に到着したが、ケーブル接続用のコネクターの仕様が東京電力のものと異なっていたため自衛隊の電源車が実際に電源復旧に用いられることはなかった。

変圧器以降が被水していないなら、電気屋ですからケーブルの接続はできたはずです。
作業は大掛かりになりますが、コンセントやソケットが壊れていても裸電線にして直接接続すればよいのと同じです。

P159
3 11 日夕方以降、発電所対策本部復旧班は、1/2 号中央制御室の計測機器の電源復旧に関する検討をし、協力企業に対し、電源として用いるバッテリーの調達に協力してほしい旨要請した。

協力企業の協力を得て、バッテリーを確保して、1120 時頃までに、原子炉水位計用の端子に接続する作業を実施した。

1/2 号中央制御室内には照明がなく、パソコンによる検索システムを用いることもできなかったため、発電所対策本部復旧班は、1 万ページ程度の分厚い配線図から目的の機器を検索して、回路が成立する場所を確認した。

発電所対策本部や東電本店はサポートしなかったのですかね?現場でやる作業ではないと思います。

1121 19 分頃に1 号機の原子炉水位計が復旧した。
TAF まで約200mm しか余裕がなかった。

1122 時に2 号機の原子炉水位計が復旧し、TAFまで約3,400mmの余裕があった。

P160
1/2 号中央制御室及び3/4 号中央制御室の照明復旧のため、小型発電機を構内協力企業から調達し、
1120 49 分頃に1/2 号中央制御室内に仮設照明設置
1121 58 分頃に3/4 号中央制御室内に仮設照明設置

小型発電機は交流電源を必要とする計測機器の電源としても用いられた。

 3 11 16 39 分頃、外部電源及び発電所内の交流・直流電源設備に係る被害確認を開始した。

P161
1 号機については、M/C6900V及びP/C480Vの全てが使用できないことが判明し
2 号機については、M/C6900Vの全てが使用できず、P/C480Vの一部が使用可能であることが判明した。
3 号機のT/B 地下一階にあるM/C6900VP/C480Vが浸水して使用不能であるとの報告を受けていた。

1号機については電源車を用いて、仮設ケーブルを接続して480V 電流を通せばホウ酸水注入SLC 系を利用できることが分かった。

2号機の変圧器に電源車の6900Vを繋ぎこめば480Vの電源をえられることになります。
この480Vをさらに1号機のホウ酸注水系(480V)に使うとする計画をたてたようです。

高圧電源車は6900Vです。
6900Vを変圧器で480Vに変換する必要がありますから、変圧器は2号機1階にあることになります。
(邪魔くさいので、2号機コントロール建屋に変圧器は置くような気がしますが・・・)

P161
2 号機P/C 480V)のC 系統 までの距離やケーブル敷設等の作業性を考慮し、2 号機T/B 南側に電源車(Tama注 6900V)を配置し、2 号機T/B 外を西方向に高圧ケーブルを敷設して、2 号機T/B 西側貫通部から2 号機T/B 内に高圧ケーブルを通し、2 号機T/B1 階西側廊下から1 階北側にある電源盤2C まで高圧ケーブル(Tama注 6900V)を敷設して、ケーブルの両端を、それぞれ電源車(Tama注 6900V)2 号機P/C 480V)のC 系統 に接続して2 号機の電源復旧を行うことにした。また、この2 号機P/C 480V)のC 系統 から、1 号機コントロール建屋(C/B)地下1 階北東側ある電源盤のM/CC100V1 次側まで低圧ケーブルを敷設、接続して1 号機の電源復旧を行うことにした(図Ⅳ-6 参照)。

この2 号機P/C 480V)のC 系統 から、1 号機コントロール建屋(C/B)地下1 階北東側ある電源盤のM/CC100V1 次側まで低圧ケーブルを敷設、接続して1 号機の電源復旧

図をみる限りコントロール建屋(C/B)はタービン建屋の中にあります。
建屋内で配線しています。
事故後の写真をみると、ケーブルが破損しそうなところはありません。
この時点では写真とは違い3号機はまだ爆発していません。


高圧ケーブルは、敷設用に長さ約200m 程度に切り取ったが、その重量は1t 以上のものとなった。

12 日未明以降、東京電力社員及び協力企業社員約40 名を動員して、人力で2 号機T/B 1 階に高圧ケーブルを移動させて敷設する作業を行った。
かかる高圧ケーブルの敷設だけで数時間を要した。

電源車を2 号機T/B 南側に配置し、T/B 西側貫通部を通した高圧ケーブルと電源車を接続した。

 3 12 15 30 分頃、2 号機P/C 480V)のC 系統 の一次側へのケーブルつなぎ込みや高圧電源車への接続等が完了し、

続いて配線のチェックをしたとのことです。
これとは別に、低圧電源車(100V)で720分頃1号機の計測用電源を確保したそうです。

しかし、同日15 36 分頃、1 号機R/B で爆発が発生し、爆発による飛散物により、2 号機T/B 南側から電源車に接続するために敷設していたケーブルが損傷した。

・・・・・

そして、1 号機R/B が再爆発する危険もあったため、現場作業に従事していた者は全員、一旦作業を中断し、免震重要棟へ退避した。その際、運転操作者が高圧電源車から離れざるを得ないため、作動していた高圧電源車を手動で停止した。

また、低圧電源車は2 号機T/B 大物搬入口内側に配置していたため、爆発による被害はなかった。

ほとんど建屋内に敷設された電源ケーブルに大きな損傷があるとは考えにくい状況です。
あっても、復旧の可能性は高いと思われます。
また、低圧電源車(100V)は被害なしとしているのに、高圧電源車(6900V)が爆発でどうなったかの報告がありません。
漠然と奇妙で中途半端な報告です。
事故隠しにみえます。

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