資料は
中間報告icanps.go.jppost-1.htmlの
です。
高圧炉心注水系は非常用発電機DGで動かすのですが
中間報告にはその記述はありませんでした。
不思議な報告です。
P90
(1)津波到達直後の発電所対策本部の対応
津波警報、津波予想到達時刻及び予想高さ等の情報を把握
発電所対策本部では、当直に原子炉スクラム確認後の初期対応を行わせていた。
そのため、津波が到達するまでの間、地震動による原子力関連施設の詳細な被害確認を実施したり、建屋や外部施設周囲に土嚢を積み重ねるなどの応急的な津波対策を講じたりする暇はなかった。
・・暇がなかったようには思えません。・・
現場は初期対応をするのは当然のことです。
地震動による原子力関連施設の詳細な状況や被害確認を実施するのが発電所対策本部の役目です。他に何をするのか?
1号機で、圧力容器の圧力が高まり、非常用復水器が動きだす異常事態を解釈し、現場がまともな対応していないなら指示を出さなければなりませんでした。
2、3号機の原子炉隔離時冷却系が自動停止したら、本来あるべき方法で冷やすことを指示すべきでした。(3.止められた冷却系 参照)
② 3 月11 日15 時27 分頃及び同日15 時35 分頃の2 度にわたり、津波が到達し、非常用海水系ポンプ設備が被水原子炉建屋R/B、タービン建屋T/B 及びその周辺施設の多くが被水した。
津波到達の時点で、1 号機から6 号機はいずれも非常用DG から交流電源の供給を受けていた
??
津波到達までの間、その動作の記述が全くないのです。
これらは人間が止めたのでしょう・・・理由は、すぐに発電を再開したいと言う信じられない理由だと思います。
何故なら
3号機は原子炉隔離時冷却系をコントロールできたはずなのに、圧力を減圧した様子がありません。
非常用発電機が動き、原子炉隔離時冷却系が自動停止する非常事態なのに
東電はデタラメな対応を続け冷やすべき圧力容器を冷やさなかったのだと思います。
P91
津波の影響で、水冷式の非常用DG 用の冷却用海水ポンプや多数の非常用DG 本体が被水し(2 号機用の2B、4 号機用の4B、6 号機用の6Bを除く。)、ほとんどの電源盤も被水するといった事態が発生した。
P91
同日15 時37 分から同日15 時42 分頃、
6 号機の空冷式DG(6B)を除き、1 号機から6 号機は全ての交流電源を失った。
同日15 時42 分頃、原子力災害対策特別措置法(原災法)10条の特定事象(全交流電源喪失)を旨通報した。
本店対策本部及び発電所対策本部は、緊急時対応情報表示システム(SPDS)(各プラント状態を把握する。電源は交流電源) が使用不能となった。
吉田所長は、主要なパラメータを計測する機器類から優先的に復旧を急ぐように指示した。
機器によって直流電源又は交流電源が必要となるが、発電所構内外から調達する必要があった。
電気屋ですから小型発電機など作れたはずです、と言うより、
1号機で、空気圧縮機を使っていますから小型発電機はあったはずです。
また、計器を動かすくらいの直流電源、充電器は作れたはずです。
P92
(2)津波到達直後の1/2 号中央制御室の対応
① 1 号機は、津波の影響を受け、冷却用海水ポンプ、電源盤、非常用母線が被水するなどして非常用DG2 機(1A、1B)がいずれも停止したため、3 月11 日15時37 分頃、全交流電源を喪失した。
② 津波到達直後、1 号機のIC の隔離弁については、全電源喪失に伴い、フェイルセーフ機能によって全ての隔離弁が閉となることに思いを致していなかった。
これは中間報告の間違えです。
フェイルセーフ機能は直流電源があることが前提です。
その直流電源が無いのです。
(訳の分からない言い訳じみた記述はありますが・・・)
また、実際に隔離弁を閉じるモーターは直流と交流電源が使われています。
交流電源を使うモーターを使う隔離弁は
交流電源がなくなれば、開きも閉じもしなくなります。
報告では、
圧力容器圧力が高かくなる異常で
非常用復水器が動いたとしています。
この時、交流電源は生きていますから
非常用復水器の弁(MO-1A、MO-4A、MO-1B、MO-4B)は
開きます。
以後、交流電源を失います。
そして、直流電源を失ってフェイルセーフ機能が働いても交流モーターを使うMO-1A、MO-4A、MO-1B、MO-4B隔離弁は閉じません。
開いたままになります。
開いたままになります。
中間報告の解釈には無理があり、信頼しないほうがよういでしょう。
フェイルセーフ機能については別にまとめるかもしれませんが・・・
まとめるのは意味がないかな?無駄かな??
東電の
から1号機の非常用復水器ICの動作状況を確認しておきます。
非常用復水器の動作を時系列的に整理すると
① 14時45分 地震発生
②14時47分 外部電源喪失
③14時52分 「圧力容器圧高」で非常用復水器自動起動
④15時03分 非常用復水器停止(MO-3A、MO-3B閉)
⑤15時10分~30分 MO-3A弁操作(圧力容器の圧力を6~7MhPaに保つ)
⑥15時37分 全交流電源喪失(37分直後直流電源喪失か?)
⑦18時18分 MO-2A、3Aの開操作
⑧18時25分 MO-3A閉操作
⑨21時30分 MO-3A開操作
冷却水供給のための消化ポンプの不具合とありますから、この消化ポンプは非常用復水器に冷却水を供給するものだと考えられます。
中間報告にはこの消化ポンプは出てこないように思えます。
⑩12日1時48分 ポンプ故障or燃料切れがわかり手動でMO-2Aか3Aを閉める。
(恐らくMO-2Aを閉めた)
となります。
また、⑦~⑨でMO-2BやMO-3Bの操作をしなかったのは全く理解できません。
・・・・
中間報告は2号機の状態に進みます。
P94
2 号機の原子炉隔離時冷却系RCIC
全電源喪失後、状態表示灯により原子炉隔離時冷却系RCIC の作動状態を確認することができなくなった。
津波の到達は15時30分ころです。
このとき、所長や当直は直流電源がなくなれば原子炉隔離時冷却系RCICが止まることを予想できたはずです。
16時36分に1,2号機を15条対象にしています。
このとき、計器の状態から直流電源が失われていることがわかったはずです。
自動停止する原子炉隔離時冷却系RCICは再起動できないと理解していたと思います。
発表は遅いくらいです。
何故1号機も?とも思いますが、16時45分に解除されています。
1号機も原子炉隔離時冷却系と同じだろうと勘違いしたのだと思います。
「逃がし安全弁が開かず圧力容器の圧力が高まって原子炉の水位が下がっている。」と、状況を正しく判断できたら16時45分に解除にする理由などありません。
解除したのは状況を全く理解していなかったのです。
しかし、通報FAXの報告者の筆跡からは、所長が判断したのか疑わしいのですが・・・FAX時間ログも変?
(本店の判断?)
何故解除したのか中間報告も疑問に思っています。(省略)
P94
3 月11 日16 時36 分頃までに、
1 号機及び2 号機の原子炉水位が確認できず
IC やRCIC の作動状態も不明
同日16 時42 分頃、当直は、原因は分からなかったが、1 号機の原子炉水位計(広帯域)の表示が見えるようになったことに気付いた。
1 号機の原子炉水位は、広帯域で-90cm(-900mm) を示し、
その後低下傾向にあり、広帯域で-150cm (-1500mm)を示した
同日16 時56 分頃から再び表示がダウンスケールして見えなくなった。
直流電源が一時的に戻った、or まだ生きていたと言うことだと思います。
P94の解説
この直流電源設備は大型の直流電源(バッテリー)を使用しているところ、地震・津波による通行止めや大渋滞によって道路事情が悪く、容易に大型直流電源(バッテリー)を調達できなかった上、津波で水浸しの1 号機R/B 内地下まで人力で運び込んで交換することも著しく困難であり、調達・交換ともに現実的ではなかったと考えられる。
これは小型のバッテリーを組み合わせればよいだけで、ヘリでいくらでも調達可能でした。また交換もする必要もありません。
原子炉建屋R/B 内地下まで電源線を這わせて必要な所に接続すればよいのです。
危険な作業かもしれませんが電気の技術者のです、計器やスイッチが動作くらいの電源は確保できたはずです。
中間報告は3号機についての記述になります。
P95
(3)津波到達直後の3/4 号中央制御室の対応
3 月11 日15 時38 分頃 全交流電源が喪失した。
同日15 時38 分頃 非常用DG 電源盤が被水し、全交流電源が喪失した。
分かりにくいので少し時系列的を整理しておきます。
地震→外部電源喪失→非常用発電機起動→津波→全交流電源喪失
となるはず・・
3/4 号中央制御室については、いきなり津波後から説明することになり、津波直前や非常用発電機起動までがわからなくなっている気がします。
4 号機は、核燃料を使用済燃料プールSFPに貯蔵している状態であったが、使用済燃料プールSFP 水温等(交流電源を使用)を確認できなくなった。
交流電源はありませんから、全ての使用済燃料プールの温度が確認できなくなったことになります。何故こんな所で交流電源を使っているのか疑問ですが・・
3 号機は、原子炉圧力や原子炉水位など主要なパラメータを計測機器で確認することができた。(直流電源は無事)
3 号機は直流電源で操作可能なRCIC 及びHPCI がいずれも起動可能であった。
3 月11 日16 時3 分頃、3 号機のRCICを手動で起動
11日15時05分手動起動し、15時28分に自動停止、16時03分に再起動しています。
最終的には12日11時36分に停止(理由なし)しています。
P95
RCIC が停止すれば速やかにHPCIを起動できるように備えた。
3 号機につき、代替注水のために必要な検討・準備の時間を十分確保するため、原子炉隔離時冷却系RCIC 及び高圧注水系HPCI をできるだけ長い間作動可能な状態に保つことを考えた。
高圧注水系HPCIはバッテリーで動くようです。
非常用発電機DGで動く高圧炉心注水系とは別物です。
そこで、同日夕方頃以降、当直は、あらかじめ定められた手順に従い、当面必要のないものから順次給電を止め、バッテリーの負荷を落としていき、RCIC 及びHPCI の電源をできるだけ長く維持できるように努めた。
高圧注水系HPCIを動かすほどバッテリーが残っていれば、原子炉隔離時冷却系を再起動できたはずですから、原子炉隔離時冷却系が壊れたと思います。
高圧注水系HPCIは
12日12時55分に動いていましたが
13日02時44分に止まっています。
何故バッテリーを要請しなかったのか?
わかりません・・・
何故、原子炉隔離時冷却系が壊れたのか?
わかりません・・・
また、中間報告で高圧炉心注水系や低圧注水系に触れていません
「事故隠し」
と言われてもしかたのないことだと思います。
雑感
1~4号機の使用済燃料プールが冷やせなくなりました。
4号機の使用済燃料プールに必死になって給水しようするTVの場面を覚えていると思います。
あれはチャイナシンドロームが起こる恐れがあったのです。
チャイナシンドロームが起これば、原子力発電所には近づけなくなり、1~6号機の原子炉は制御不能になります。
制御不能になると、やがては1~6号機でチャイナシンドロームが起こります。
また、周辺では人はいられなくなりますから、第2原発でもやがてチャイナシンドロームが起こります。
プロメテウスの罠(朝日新聞 特別報道部 著 Gakken)P208
引用開始
2号機を放棄すれば、1号機、3号機、4号機から6号機、さらには福島第二のサイト、これらはどうなってしまうのか。
これらを放棄した場合、何カ月か後にはすべての原発、核廃棄物が崩壊して放射能を発することになる。
引用終わり
核燃料プールは、ほとんど野ざらし状態で放射能を出しそうだったのです。
北東風で雨が降るケースは関東の地表付近は冷たくなり、上昇流は起こりにくくなります。
放射性物質は上空に拡散せず、高濃度で地表付近を這って移動することになります。
放射性物質が北東風で運ばれる時は、とんでもなく高濃度の放射性物質が東京に流れ込む可能性があったのだと思います。
TVニュースなどを見聞きすると
核のことをよく知らない政治家が、情緒的に原子炉を動かしたがっているようです。この政治家たちは日本を核廃棄物のゴミ箱にするつもりなのかもしれません。
仮に原子炉を再稼働させる理由があるとすれば、それは経済が理由になりません。
核燃料棒は冷やす水がなくなれば、熱でどろどろに溶ける事故を起こします。
再稼働させなければ、こうした危険を持つ核燃料を何億年も管理することになります。(脅しではありません。事実です。ウラン235の半減期は7億年です。7億年経って放射能はようやく半分になるのです。)
1年で事故が起こる可能性は小さいですが、10年、20年・・・100年、1000年の間に事故の起こる確率は高くなります。
何年で事故の起こる可能性が99%になるのか分かりませんが、そうした数字は必ずあるわけです・・・
理論的に必ず事故は起こるのです。
こうした事故が起きないようにするために、
核燃料を燃やす=原発を再稼働する
必要があります。
燃やした後もかなり危険な核廃棄物は残りますが、核燃料棒よりは管理はしやすくなります。
管理しやすくなっても放射能は止められません。
放射性物質を閉じ込めても、放射能は鉛だろうとなんだろうと容器をボロボロにして壊してしまいます。
放射性物質は安全に処理する技術など永久にできません。
こんな状況を作ったのは、アホ政治家と経済産業省のバカ役人です。
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